NHKは四日、大みそかの「第五十八回紅白歌合戦」の出場歌手を発表した。初出場は八組。今年は、節目となる第六十回までの三年間の統一コンセプト「歌力」を掲げて臨む最初の年。華やかなパフォーマンスを見せるアイドルグループからしみじみ歌うベテランまで、勢ぞろいで“歌の力”を大みそかのお茶の間に届ける。 (井上幸一、宮崎美紀子)
東京・渋谷のNHKでは、初出場する八組がそろって記者会見。女性四十八人組の「AKB48(エーケービーフォーティエイト)」の存在で、ひな壇はあふれんばかり。例年になく華やかな晴れの場となった。
アニメのキャラクターのコスプレで知られるアイドルの“しょこたん”こと中川翔子は「ギザどころでなく、ギガント、いやビッグバンウレシスでございました」と独特の言葉でうれしさを表現した。父はミュージシャンで俳優の故・中川勝彦さん。今年のテーマ「歌の力・歌の絆(きずな)」にちなみ、「父の歌をコンサートでカバーしている。歌は生きた証しとして残り続ける。父には心の中で(出場を)報告した」と夭逝(ようせい)した父との絆を話した。
秋葉原の劇場を拠点に活動するアイドルグルーブ「AKB48」はメンバーが勢ぞろい。「劇場オープンから二年半、ずっと紅白を目標にしていた。会場を目いっぱい使い、四十八人にしかできないパフォーマンスを」と抱負を述べた。
性同一性障害を公表した中村中(あたる)は、戸籍上は男性だが紅組から出場。「親孝行になった。母の年代が多く聴いてくれるので、そういう人たちへの感謝の気持ちを込めて歌いたい」。ネットから人気に火がついた“グラビア界の黒船”リア・ディゾンは「デビュー、ファーストライブ、紅白での締めくくりと、たくさんの夢がかなった一年でした」。
「お久しぶりね」などのヒット曲を手がけたベテラン作詞作曲家のすぎもとまさとは「作品を提供する側からすると複雑。(自分の出演で)歌い手が一人減るので…」と、とっても謙虚。演歌「吾亦紅(われもこう)」がヒット中。「天国のおふくろにささげる歌。おふくろのために歌う」と意気込んだ。シンガー・ソングライターの馬場俊英は「紅白は音楽活動と直接関係あると思っていなかったが、(出場は)自信になる」。
久々の復帰組もNHKを通じてコメントを発表した。「あみん」の岡村孝子は「神様からのすてきなプレゼント」、加藤晴子は「二十五年前の緊張を懐かしく思い出す」。米米CLUBは「心・米・升(こころこめます)」と三文字で意欲を表した。二十三年ぶりに出場し、企画コーナーで美空ひばりさんの映像とともに自ら提供した「愛燦々」を歌う小椋佳は「昭和の天才歌手・ひばりさんとご一緒させていただけることを光栄に思う」と思いを寄せた。
故人しのぶ特集コーナーも検討
NHKによると、出場歌手は今年のテーマ「歌の力・歌の絆」にのっとり、「今年の活躍」「テーマに合っているか」「世論の支持」という観点で選んだ。出場組数は、紅組が二十九組(「モーニング娘。」「Berryz工房」「℃-ute(キュート)」は三グループで一組)、白組が昨年と同じ二十七組。紅白の組数が合わないが、「構成、演出で組数を合わせる」とNHKは説明。AKB48、中川翔子、リア・ディゾンが一組として歌う可能性もあるという。
AKB48、中川、リア・ディゾンは、存在そのものは今の社会を象徴しているが、大ヒット曲はない。じっくりと、いい歌を聴いてもらうという紅白の理念「歌力」とは一見相いれないが、「歌唱力だけではなく、パフォーマンスを含めて『歌の力』」という考えでの選出。若い視聴者を獲得する狙いもある。
復帰組はあみん(25年ぶり)、米米CLUB(11年ぶり)、寺尾聰(26年ぶり)、槙原敬之(16年ぶり)。演歌では三年ぶりの中村美律子。大河ドラマで活躍したGacktも三年ぶり。
今年亡くなった坂井泉水さん(ZARD)、阿久悠さんの特集コーナーも検討されている。
一方、宇多田ヒカル、竹内まりや、矢沢永吉、チューリップ、B’zらは、例年通り依頼はしたが今年も出場には結びつかず、昨年まで三十二回出場した細川たかしも出場を辞退した。
東京新聞 - 2007年12月5日
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